大連立で法案処理のスピードアップを「永田町ワイドショー(6月15日号)」(藤本順一)
社会保障と税の一体改革をめぐる民主党と自民、公明両党の修正協議はこの一両日がヤマ場となる。協議の成否は、最低保障年金制度の創設や後期高齢者医療制度の廃止など、民主党が掲げるマニフェストを撤回するかどうかの一点にかかっている。
自民党は現行制度の維持充実を前提とした同党の社会保障制度改革基本法案を丸飲みするよう迫り、13日の公明党との幹事長会談では15日を期限に修正合意が不調に終われば協議を打ち切る方針を決めている。会談では内閣不信任決議案や問責決議案提出の段取りも話し合われたようだ。
これを受けて野田佳彦首相は同日の参院予算委員会で「成立を期すための大きな提案と受け止めている。可能性を含め子細に検討している」と述べ、直後に臨んだ政府・民主党3役会議で「基本法案に民主党の主張を取り込んで、15日までに修正合意し、まとめてほしい」と指示を出した。と、ここまでは本欄の描いたシナリオ通りの展開である。
また、これとは別に自民、公明両党は「原子力規制委員会」設置法案やイラン産原油の輸入継続を図るための特別措置法案、「大阪都」構想実現のための法案の3法案について今国会会期中の成立に前向きな姿勢を見せている。有り難いことではないか。
会期末が迫る中、今年度予算の執行に必要な公債特例法案をはじめ、ことほど左様に国民生活に直結する重要法案が成立を待っている。今回の修正協議が成れば、これらの法案処理のスピードアップにもつながるはず。
ところが野田政権を支える立場の民主党内は法案処理には目もくれずに、相変わらずの足の引っ張り合いである。呆れるばかりだ。
「今は与野党合意に苦労している。解散総選挙後に大連立か、協議体をつくって民自公3党が参加し、懸案を解決していくことが必要だ」
公明党の井上義久幹事長は12日の講演でこう述べた。大連立には異論もあろうが、何も決められない今の民主党政権よりはまだマシだ。今回の修正協議がそのための地均しになれば良いのだが。