増税先行で修正協議合意を急げ「永田町ワイドショー(6月13日号)」(藤本 順一)
社会保障と税の一体改革関連法案の修正協議は今週がヤマ場となる。民主、自民両党は11日、税制分野の修正協議で消費税税率10パーセントを2段階で引き上げることで一致したが、焦点となる低所得者層対策については結論を持ち越した。
政府・民主党が税率を10パーセントに引き上げた段階で所得税控除と現金支給を組み合わせた「給付付き税額控除」の導入を検討している。これに対して自民党を税率8パーセントに引き上げた段階で生活必需品などへの軽減税率の導入を検討すべきだと主張している。ただ、消費税増税の基本的方向で一致し、双方が低所得者対策の必要性を認めているのだから、細かい話は後回しにしてでも法案採決の環境作りを急ぐことだ。
一方、前日に行われた社会保障分野の修正協議は自民、公明両党は最低保障年金制度の創設と後期高齢者医療制度廃止の撤回を求めたが、民主党が難色を示して物別れに終わった。双方の隔たりは大きい。
しかしである。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が実施した直近の世論調査によれば、内閣支持率は28・2パーセントでほぼ横ばい、不支持率は依然として6割台の高水準だ。民主党の支持率は13・1パーセントで政権交代以降最低を記録した。
すでに国民の信を失ってしまった野田政権に与野党が大きく対立する社会保障制度の大改革をまとめられるわけがない。
幸いなことに自民党は将来的な年金・医療制度改革については「社会保障制度改革国民会議」に議論を委ねるよう求めており、これに乗っかれば少なくとも消費税増税だけは実現できる。
増税先行との批判は免れないが、野田首相の覚悟次第だ。仮に今国会、消費税増税関連法案だけを可決成立させた場合、8パーセント引き上げは14年4月、15パーセントへの引き上げは2015年10月だ。実際の引き上げを起点に考えれば、社会保障制度の大改革については無理して結論を急ぐことはなかろう。