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自民党・谷垣貞一総裁の決断「永田町ワイドショー(6月8日号)」(藤本順一)

自民党の谷垣禎一総裁は6日、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革法案をめぐる民主党との修正協議に応じる意向を示した。


周知のとおり、野田首相は同関連法案の衆院採決の期限を6月21日の会期末と決め、自ら退路を絶った。逆算すれば、18日にメキシコで開催のG20首脳会議出発前、15日までに修正協議をまとめておかなければ国会日程上、間に合わない。そうなれば野田首相は政治責任を問われて政局は混乱し、国民生活は大打撃を受けるところだった。谷垣総裁の決断を高く評価したい。


さて、そうであれば次は野田首相が決断する番だ。社会保障と税の一体改革関連法案は全部で7本あるが、修正協議に費やす時間は残り少ない。両党の主張に隔たりが大きい法案はこの際、継続審議なり廃案にして、仕切り直してはどうか。自民党は最低保障年金制度や後期高齢者医療制度廃止の撤回を求めている。社会保障制度の大改革は与野党の立場を越え、じっくり時間をかけて結論を出した方がいい。


それに7法案すべてを今国会で成立させるためには大幅な会期延長が必要となる。参院の審議日程を衆院と同じ100時間程度確保するには延長幅はざっと40日、最悪8月お盆をまたぐ長丁場となろう。そして9月、民主、自民両党は代表選に雪崩れ込むが、野田首相と谷垣総裁の2人共に再選される保障はない。民主党内には国会会期の大幅延長を口実にした代表選前倒しの声もある。野田首相の再選を阻み、修正協議の破綻を狙ったものだ。誰と言わずともお分かりだろう。消費税増税と話し合い解散に反対する連中である。


彼らの邪悪な企みを粉砕するためにも、野田首相は欲張らずに合意可能な修正法案を成立させ、できるだけ早く国会を閉じてしまうことだ。
その上で話し合い解散に進むもよし、あるいはこのまま民自大連立で積年の政治課題を一気に片づけてしまうのもいい。解散は先送りとなるが、自民党の政権参加で政治が前に進むのであれば、反対する理由はない。国民も理解してくれるだろう。