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中国の異常な大気汚染 梅雨で豪雨の福建に出張です (相馬 勝)

月曜日から3日間、中国に出張する。福建省を回るつもりだ。しかし、あいにくなことに、天気予報をみると、この3日間は連日大雨だという。すでに、関東地方も梅雨入りしているのだから、台湾の対岸に位置する福建省も梅雨入りしているのだ。

福建省に行く2日前の昨日(土曜日)になって、年間降水量を確認すると、何と6月が最も多雨ということが分かった。そもそも、天気についてはまったく考えていなかったのが、いまとなっては不覚だ。

それに連日30度の暑さらしく、この温度で大雨ならば、さぞかし蒸し暑いに違いない。旅行の天候としては最悪だ。これも「日頃の行いのなせる業」と自身の行動を反省せざるを得ない。

そういえば、今年3月の上海取材も雨にたたられた。4日間いて、「今日は帰国する」という滞在の最終日だけが晴れた。典型的な「雨男」だ。

ところで、上海の天気の悪さには大きな理由がある。それは環境汚染だ。日本からの飛行機で上海に到着する際、いつも通り、機長から現地の天候についてのアナウンスがあったが、表現の仕方がおかしかったことを思い出す。

「当機は間もなく上海浦東国際空港に到着します。現地の情報では上海は晴れですが、濃霧がかかっています」

「晴れだけれども、濃霧か。霧でもかかっているのかな。そうすれば、曇りか?」と判然としない思いを抱いたのだが、実際、空港に着いてみると、空は霧がかかったようにどんよりとしていた。どうも濃霧というよりも、スモッグで曇っているという感じだった。

「これじゃあ、晴れではなくて、曇りじゃないか」と同行していた同僚に語りかけた覚えがある。

(霧ならぬスモッグに煙る黄浦江。大気汚染で上海の観光名所も台無しです=筆者撮影)

現地の日系企業の駐在員に聞いてみると、「もう5カ月も晴れていない。すっきりとした青空を見ていない」という返事だった。

日系の航空機会社のパイロットは「日本から中国に向かうと、長崎をちょっと越えたあたりで、大気が黒くなっている層が広がっている」と語っており、中国で汚染された大気層が日本列島に迫っているというのだ。

上海在住の中国人の経営コンサルタントは「車の影響もあるが、上海郊外や内陸部の工場が大気汚染除去装置を付けずに、煤煙をまき散らしているのが最大の原因だ」と指摘する。

これは、北京でも同様だ。昨年末北京を訪れた際、北京首都国際空港を出て、タクシーで高速道路に入ると、濃い霧に包まれて、視界が数百メートルもきかないのだ。ドライバーに聞くと、「最近はいつもこんな調子」だそうで、濃霧が原因の交通事故も多発しているという。

ようやく無事に北京市内のホテルに到着したが、知人の話では航空便のキャンセルは日常茶飯事で、肺がんの発生率は60%増と上昇するなど、北京はいまや〝死の街〟と言ってもよいほどのリスキーな都市と化していた。

(北京は冬は晴れが多いです=同)

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の試算によると、大気汚染による中国の経済損失は2005年の段階で、1120億ドル(約9兆円)に及んでいる。世界保健機構(WHO)は大気汚染による07年の死亡者数は65万6000人にも達していると発表している。

このような大気汚染のひどさに、北京の米国大使館は昨年から、さらに上海の総領事館も先月から、独自にそれぞれの大気汚染の観測とデータを公表しているほどだ。ところが、これに対して、中国政府が「内政干渉」と噛みついたところ、米側は「内政干渉には当たらず、中止する計画はない」と反発し、外交問題に発展しそうな勢いだ。

このような北京や上海の大気汚染に比べて、福建省の汚染度はたいしたことはないらしい。あったとしても、折りからの大雨できれいさっぱりと洗い流してくれるに違いない。気休めかも知れないが、これだけが今回の福建行きのせめてもの救いだ。

 

 

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