「金正恩二度目の演説」をチェック (辺真一)
朝鮮少年団創立66周年記念大会での金正恩第一書記の演説を北朝鮮が配信した動画からチェックしてみた。
初デビューした4月の金日成主席生誕100周年式典に続き二度目の演説とあって、前回と違ってあまり緊張感は感じられなかった。それでも今回も前回同様に棒読みに終始し、感情はこもってなかった。
前回は体をやや左右に揺すりながら語っていたが、今回は前回以上に体を大きく揺らす姿が印象的だった。また、15~16分程度の演説にもかかわらず、立ちっぱなしの状態が辛いのか、右手、時には両手を演壇にもたれかかるように話す姿も目に付いた。
さらに、原稿から顔を上げた時は前回もそうだったが、しかめっ面となる。まぶしいせいかわからないが、モデルにしている祖父の金日成主席はこのような苦虫を噛み潰したような表情を一度もしたことがなかったと記憶している。
演説前には笑顔を絶やさず、スタンドに向かって手を振るなど、祖父のようなイメージを振りまいていたが、演説は貫禄たっぷりの祖父のそれの足元にも及ばない。一言で言って、大衆を鼓舞するアジテーターとしては、まだまだ力不足、経験不足の感が否めない。それでも公の場で一度も演説をしなかった隠遁政治家の父親の金正日総書記よりはまだましというもの。
良くも悪くも、指導者ならば、今後も自分の口で人民大衆に直接呼びかけてもらいたいものだ。それも、開放への一歩と評価されるからだ。