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意味不明の「ヘギョン情報」 (辺 真一)

昨晩は、新橋で行われた毎日新聞社関連主催の異業種交流会に呼ばれ、「金正恩の新体制と日本」と題する卓話を行った。卓話は30分程度だが、その後、1時間半近く、会食をしながらの一問一答があった。

拉致問題についても質問があった。「現状では進展も、解決も期待できない」と残念な見通しを述べざるを得なかった。その理由は、野田政権に解決に向けての意欲が見えないばかりか、戦略戦術も乏しいからだ。簡単な話が、思考が硬直しているため打開策が打てない。

横田滋さんが昨日、ある集会で北朝鮮との交渉の必要性を訴えていたが、核問題をめぐる米朝交渉や6か国協議が再始動しなければ、日米韓協調体制を取っている日本政府としては単独では動けない状況にある。また、北朝鮮も反応しない。困ったものだ。

夜遅く帰宅すると、横田めぐみさんの娘、ヘギョンさんが「平壌で厳しい監視下に置かれている」との意味不明のニュースがソウルから飛び込んできた。

韓国の拉致被害者の家族で作る「拉北者家族会」の崔成龍代表が人権集会の場で明かした情報らしいのだが、その内容は「ヘギョンさんは現在、金正恩第一書記の指示で平壌近郊に居住し、厳しい監視態勢下で生活を送っている」というもの。「仕事には就いており、外出も買い物もできる」ということは、「招待所」で暮らしているということなのか?ならば、ヘギョンさんも、また結婚した相手も拉致被害者でもないのになぜ「招待所」での生活を強いられるのだろうか?

一体、監視される理由は何なのだろう?誰かがヘギョンさんに接近しようとしているのだろうか?それとも逃亡(脱北)の動きでもあるのだろうか?今までは監視されてなかったのはなぜなのだろうか?いろいろと考えてしまう。

北朝鮮は「閉鎖国家」と言われている。海外渡航の自由も、国内移動の自由も制限されている国内にいる者を殊更、監視するまでもないと思うのだが。

崔代表は「金正恩は今後、日本との交渉に備えて、厳しい監視が必要と考えたのだろう」と話しているが、日本との交渉に備えているならば、結婚したばかりのヘギョンさんを監視ではなく、待遇の改善などもっと優遇してしかると思うのだが。