ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

国会事故調 ついに菅元首相、参考人招致へ(上杉隆)

東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(通称:国会事故調査委員会)がいよいよ佳境に差し掛かっている。

きょう(5月27日)は第15回、一年前に官房長官として自信たっぷりに事故の説明を続けた枝野幸男経済産業大臣が参考人として登場、委員たちからの厳しい追及を受けた。

野村修也委員「中村審議官のメルトダウンの記者会見の後、炉心溶融に関しては官邸から発信するなと指示を出したのか」

枝野参考人「そんな指示は出していない。せめて情報は官邸には同時に入れてもらえないかとお願いした。私もイレギュラーに会見していたのでどこかで発表されていることを官邸が知らないということあっては余計な不安を与えるので。決して公表控えろとは言っていない」

筆者がメルトダウンの可能性を指摘したのは3月12日の午後2時過ぎだ。それはまさしく野村委員の示した通り、政府の発表を受けて複数のソースにウラ取りを行った後、ラジオやツイッターで報じたものである。当初、マスコミも筆者と同じように炉心溶融の可能性に触れていたのは確かだ。

ところが、その後、クローズドの内閣記者会独占の官房長官会見で枝野長官の発表は変化していく。炉心溶融から燃料損壊、燃料棒損傷、さらには一部損傷と後退していき、ついにはメルトダウン自体に否定的な見解を述べるようにまでなったのだ。もちろん、枝野長官のそうした発表に伴って、記者クラブメディアも同様に事故被害の過小報道に切り替わっていく。

その結果、政府が正式にメルトダウンを認めたのは6月7日、実に事故から3か月が経過していた。

黒川清委員長「メルトダウンに関しては、海外メディアが知っていることを日本のメディアは報じなかった。まさに日本のシステムがメルトダウンしていたということだ」

国会事故調は国勢調査権の発動要請の権限を持つ憲政史上初の委員会だ。きょうの会見でも、黒川委員長はさらに上位の国政調査権、つまり参考人招致と証人喚問の発動を否定しなかった。

あす(5月28日)はいよいよ菅直人元首相、翌29日には場所を福島に移して佐藤雄平福島県知事の参考人質疑が行われる。原発事故では誰一人責任を問われていない。

政治の結果責任の上でも、また国家としてのガバナンスの観点からも、何より日本の未来のためにも、国会事故調から目が離せない3日間となるだろう。