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家庭からの収入9割問題と情報公開(日隅一雄)

東京電力が家庭・中小企業向け販売分から9割の利益を得ていたことが発覚しましたね。感想は人によって様々だろうが、個人的には、原発事故後、コメンテータが軒並み、太陽光発電について不安定さや電池の性能の不十分さを指摘するコメントをしていたのかが、よ~く分かったような気がする。

東電が積極的に太陽光発電所を建設し、そこで発電された電気を売電すれば、それは、それでビジネスになるのではないだろうか。それにもかかわらず、太陽光発電に取り組まないのは、原料を購入するというプロセスがなくなるため、利益を抜くことができなくなるからかな~などと考えていた。

しかし、そんな甘いものではなかった。

太陽光発電だけでも(屋根が小さい場合、太陽熱発電、小さな風力発電と組み合わせることも可能)、電池の性能がよくなれば、家庭で使用する電力を全てまかなうことも可能のようだ。

東電にとって、家庭用太陽光発電が普及することは、主たる利益を絶たれることになるわけだ。そりゃ、目の敵にするよね。

太陽発電について否定的なコメントを繰り返していた識者の皆さん、いったい、だれのアプローチを受けてあのようなコメントをしていたのですか?そこを明らかにして反省しないと、あなたのコメントはもう、信用されないですよ。

そういえば、確か、補助金で太陽光発電がどんどん普及し始めたときがあったが、なぜか、補助金が停止されてしまった。あのまま普及していたら、さらに安価になり、電池もさらに高性能になっていたのではないか。そうなれば、東電の利益は、絶たれる方向に…。

でも、いまさら、こんなことが分かるのか、という感じだ。税金を何兆円もぶち込む前に、少なくとも東電については情報公開の対象とするよう法律を設けるべきだ。

これは税金をつぎ込まれる者にとって、当然の権利だと思う。

そこで、情報公開を求める申し入れ書を作成したいと思います。

完成したバージョンに賛同いただけるならば、皆さん個人個人、あるいは、皆さんが所属しているグループに呼びかけて、ぜひ、申し入れを地元の政治家や各政党、エネルギー関連委員会に所属している議員らに送って下さい。

金だけ払わせて情報を与えないなんて、許されない。私たちは、東電から詐欺に遭っていても分からない。現に取引量は大手企業への売電が大きいのに、利益はわずか1割に過ぎず、9割は中小企業や一般家庭だっていうんでしょう。これが分かっていたら、改善するように要求していたはずだ。

申し入れ書の概要は次のような感じです。例によって、アドバイスがある方は、コメント欄に残して下さい。

 

申し入れ書案

●年●月●日

●● ●●殿

 

弁護士・NPJ編集長日隅一雄

冠省 私は納税者の一人であるとともに、東電から買電している一般消費者でもあります。このたびの福島第一原発事故及びそれがもたらした、そして、もたらす影響に深い関心を持っている者でもあります。しかし、有権者にとって、当然ともいえる深い関心を拒む壁があります。その壁は、東電から必要な情報が開示されていないという事実です。そこで、東電について情報公開制度の対象となるような立法処置を至急、執るように以下の通り申し入れます。

1 環境に関する情報について市民がアクセスする権利を保障することは世界的流れです。

「環境と開発に関するリオ宣言」が「環境と開発に関する国際連合会議(UNCED)」で合意されたのは1992年、いまから20年前です。このリオ宣言の第10原則は、「環境問題は、それぞれのレベルで、関心のある全ての市民が参加することによって、最も適切に扱われる。国内レベルでは、各個人が、有害物質や地域社会における活動の情報を含め、公的機関が保有する環境に関する情報を適切に入手し、かつ意思決定過程に参加する機会をもたなければならない。各国は、情報を広く利用可能にさせることによって、市民の認識と参加を促進し、かつ奨励しなければならない。求償及び救済を含む司法的及び行政的な手続きに効果的に参加する機会が与えられなければならない。」というものです。日本もこのリオ宣言の採択に加わっています。

このリオ宣言を実現するため、国連欧州経済委員会は、1998年、オーフス条約(環境問題に関する、情報へのアクセス、意思決定過程における市民参画、及び司法的救済方法へのアクセスに関する条約)を択し、2001 年に発効したのです。

このオーフス条約は、締約国に、環境に関する、①情報開示の法整備、②市民参画の法整備、及び、③その実効性確保のための市民による司法アクセスの促進を求めています。

その結果、欧州を中心に、環境に関する情報は民間企業が保有するものであっても情報公開の対象となるよう法整備されています。

 

2 行政機関が一定額以上の税金を投入した場合、投入先は情報公開の義務を負うことは地方自治体でさえ、条約によって実現しています。

一定額以上の税金を受け取った団体は、その税金をいかに使ったかを納税者に説明する義務を負うのは当然です。さらに多額の税金を受け取る場合、使途のみならず、その団体の活動全体についても説明する義務を負うことになるのではないでしょうか。なぜなら、本来、その団体が負担すべき費用を税金によって支払うことで浮いた資金をどのように使っているのか、そもそも、多額の税金を支払うことが認められるべき団体なのか、を知ることは納税者にとっては、当然の権利だからです。

納税者と使途の距離が近い地方公共団体では、この権利が条例化されています。先駆けとなった福岡県香春町は、平成10年、同町が(1)資本金などの2分の1以上を出資している公益法人、株式会社、あるいは、(2)年額100万円以上の補助金、助成金などを交付している団体については、情報公開制度の対象とすることを条例で定めました。すでに10年以上が経過しています。国もこのような地方の動きを見習うべきではないでしょうか。

少なくとも、市民に多大な損害を被らせたにもかかわらず、破綻処理をしないで税金をつぎ込むことによって存続している東電については、一刻も早く税金の使途を確認できるよう、情報公開制度の対象とするべきであることは明白です。

3 結論

よって、これ以上、税金をつぎ込む前に、東電を情報公開の対象とするよう法的な整備を行うよう申し入れます。この件について、貴殿の考え方をご回答いただければ幸いです。なお、私は、個人的に、「情報流通促進計画」(http://yamebun.weblogs.jp/my-blog/)というブログで情報を発信するとともに、弁護士らが中心になって情報を発信している「News for the People in Japan」という情報サイト(http://www.news-pj.net)の編集長をしております。本公開質問状についても、それらを通じて公開するとともに、回答状況についても公開しますので、ご了承下さい。

不一