福島第一原発事故の警戒区域への入域条件が撤回(日隅一雄)
東京電力福島第一原発事故の警戒区域内にある福島県浪江町で牧場を運営する吉沢正巳さん(58)側に対し、牧場での作業内容などをインターネットで公開する場合は許可を得る、ジャーナリストは同行しない、との同意書を町側が出させていた問題について、弁護士22人が条件を撤回するよう求める要望書を提出した結果、5月23日、条件を撤回したうえで入域が許可されました。
この提出は、もう通常事件を担当していないため、時間のある私が代表して行ってきました。まだ、少しは役立つことができてハッピーです。
ただし、要望書では、ほかに同じような条件を付した許可事例があるか、ジャーナリストの入域許可の不当な不許可はないか、ということも尋ねています。こちらの回答がキチンとされるかどうか、は、社会が関心を持っていると判断するかどうかです。
そこで、お願いです。条件を撤回したことはすばらしいが、ほかの要望についてもきちんと対応するように、
〒100-0014 東京都千代田区永田町2丁目3−1 原子力災害対策本部長 野田佳彦内閣総理大臣、
〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 原子力災害現地対策本部長 柳澤光美経済産業副大臣、
〒960-0904 福島市杉妻町2-16 福島県庁5F 担当:原子力災害現地対策本部広報班、
〒964-0904 福島県二本松市郭内一丁目196-1 男女共生センター内 浪江町役場二本松事務所 馬場有浪江町長
に手紙やFAX、メールなどで伝えて下さい。
行動を起こせば、変わることもあります!
念のため、要望書を引用しておきます。
●要望書引用開始●
公 開 要 望 書
2012年5月17日
〒100-0014 東京都千代田区永田町2丁目3−1
原子力災害対策本部長 野田佳彦内閣総理大臣殿
〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1
原子力災害現地対策本部長 柳澤光美経済産業副大臣殿
〒960-0904
福島市杉妻町2-16 福島県庁5F
担当:原子力災害現地対策本部広報班御中
〒964-0904
福島県二本松市郭内一丁目196-1 男女共生センター内
浪江町役場二本松事務所
福島県浪江町長 馬場有殿
警戒区域内への立ち入り条件について憂慮する弁護士有志の会
梓澤和幸(東京弁護士会)、井桁大介(第二東京弁護士会)
大西啓文(東京弁護士会)、小川朗(第二東京弁護士会)
海渡雄一(第二東京弁護士会)、河崎健一郎(東京弁護士会)
神田安積(第二東京弁護士会)、児玉勇二(東京弁護士会)
後藤玲子(兵庫県弁護士会)、坂井眞(東京弁護士会)
坂口季久夫(第一東京弁護士会)、真田範行(千葉県弁護士会)
澤藤統一郎(東京弁護士会)、杉浦ひとみ(東京弁護士会)
高橋右京(東京弁護士会)、田場暁生(第二東京弁護士会)
佃克彦(東京弁護士会)、中川亮(第二東京弁護士会)
中山武敏(第二東京弁護士会)、西岡弘之(東京弁護士会)
日隅一雄(第二東京弁護士会)、緑川由香(第二東京弁護士会)
(五十音順)
冠省 私たちは、東京電力福島第一原発事故の警戒区域内への立ち入りの条件が表現の自由を制約するものであることを憂慮する弁護士有志です。
今般、馬場有町長は、原子力災害現地対策本部の指示文書などに基づき、東京電力福島第一原発事故の警戒区域内への立ち入りを同区域内に牧場を持つ吉沢正巳氏に認めるにあたり、「マスコミ等の取材は一切同行させない」、「作業内容や結果をインターネット等で公に広報する場合は、必ず浪江町の許可を得る」という条件をつけた同意書を提出させました。
後者については、憲法が禁止する検閲にあたる行為であり、許されるものではありません。また、前者についても、取材を受ける権利、裏返せば、取材をする権利を侵害し、もって、報道の自由を侵害するものであり、違憲というほかありません。
そこで、私たちは、馬場有町長に対し、ただちに、上記2条件を解除するよう求めるとともに、警戒区域への立ち入りの許可基準を示した原子力災害対策本部長及び同基準に基づき実施計画を策定した原子力災害現地対策本部長に対し、他の地区も含むすべての立ち入り事例において同様の条件が付されているか否かを確認し、類似の事例がある場合には直ちに解除の指示をするよう求めます。
さらに、ジャーナリストからの立ち入り許可申請に対して不当な制限が加えられている可能性も大きいため、送付先全者に対し、ジャーナリストからの立ち入り許可申請の件数、不許可件数、不許可理由、許可の際の特別な条件の有無及びその内容を調査して明らかにするとともに、今後、ジャ-ナリストからの立ち入り許可申請について、不当な制限を加えることのないように要望します。
なお、上記要望に対する回答は、5月末日までに、事務連絡担当日隅宛て(連絡先は東京共同法律事務所)になされるよう希望します。
本書面は、原子力災害現地対策本部広報班に提出するとともに、全ての送付先に配達証明郵便にて発送いたします。
不一
●要望書引用終了●