北朝鮮には全く効き目のない「G8宣言」(辺真一)
米キャンプデービッドで開催されていた主要国首脳会議(サミット)での首脳宣言で、「北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射など一層の挑発を行った場合、国連安保理に対抗措置を求める」と警告したそうだ。
G8が核とミサイル問題で北朝鮮にこの種の警告を発したのは、何も今回が初めてではない。サミットが開かれる度に北朝鮮に「今度やったら、ただでは済まない」とばかりこの種の警告を何度も発していた。
確か2008年の7月に北海道の洞爺湖で開かれたサミットでも北朝鮮に対し、すべての核兵器及び既存の核計画並びにその他すべての既存の大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画の放棄を求め、安保理決議「1695号」(06年7月のミサイル発射を非難)と「1718号」(06年10月の核実験を非難)の遵守を求めていた。ところが、北朝鮮には馬耳東風で、1年もしない間に二度目のテポドン発射(09年4月)と2度目の核実験(09年5月)を立て続けに行った。
それだけではない。09年の一連の「挑発行為」を懲罰するため採択された新たな安保理決議「1874」(09年6月)で「弾道ミサイルを発射してはならない」と警告されていたにもかかわらず、まるであざ笑うかのように一か月もしない09年7月12日、北朝鮮は弾道ミサイル1発を含め5発のミサイル発射実験を行っていた。
さらに以後も、核燃料棒8千本の再処理着手、軽水炉の建設やウラン濃縮工場の建設の着工など、G8の声明や安保理決議などは北朝鮮にとってはどこ吹く風だ。
そう言えば、昨年のフランスでのサミットでも「我々は,国際的な安定に対する脅威である深刻な拡散の課題を,特にイラン及び北朝鮮において除去することにコミットする」との宣言を出していた。
何度も何度も警告を無視されているのに一体、いつになったら、「対抗措置」を取るのやら。
韓国に対して「間もなく特別行動を取る」と宣言してから1か月近く経つのにやろうとしない、北朝鮮も、G8も所詮、口先だけなのだろうか?