山下俊一福島県医科大学副学長からの回答を踏まえた再質問(日隅一雄)
年間100mSvの被曝に関する発言がいまだ、福島の家庭・地域の被曝を少なくするための方針を決定するうえで、大きな影響を与えている山下俊一福島県医科大学副学長に対する質問と同副学長からの回答をいただきました。
ここで、科学的な再反論についてはおいておくとして、福島の現実から再反論を考えてみたい。福島の人たちの間で、深刻な対立を生んでいるのは、少しでも被曝を少なくしようとすることの是非だ。
つまり、年間100mSvまでの被曝は安全だから、あるいは、山下副学長が気にしないでいいと言っているから、福島産のものを食べないとか、運動を差し控えるとか、そういう対応は行き過ぎだ、という声がある一方で、いや、一定の被曝をした以上、リスクはあるわけだから、これ以上、リスクを増やさないためには、福島産の食べ物を避け、被曝をしていない沖縄産などの食べ物をとること、可能であれば被曝をしないで済む沖縄などに移住することも必要だ、という声がある。
深刻なのは、山下副学長の発言を根拠として、後者の声を上げる人たちに対して、バッシングがあるということだ。
山下副学長の意図はどうであれ、少なくとも、現状はそのようになっているようだ。
たとえば、私が聞いたところでは、いまも、給食で福島産の牛乳を残したら同じクラスの母親から飲むように電話がかかってきた、とか、移住について話ができるような状況ではない、ということがあるようだ。
福島の現実で問題となるのは、とどまって普通に生活したい人にはそのようにしたい自由(A)、とどまるが被曝を少なくするため最大限の努力(建物外での滞在時間を可能な限り減らす。できるだけ被曝の少ない食べ物を与える…)をしたいと考えている人にはそのようにできる自由(B)、一時的にあるいはもっと長く移住して暮らしたいと考える人にはそのようにできる自由(C)が、与えられているかどうか、ということです。
聞く限り、(A)の自由はあるようだが、(B)および(C)については、必ずしも守られていないように思えます。その根拠として、いまなお、山下副学長の発言が大きな役割を果たしているようです。
したがって、再質問の骨子は、山下副学長が今回回答していただいたように、「常に被ばく低減措置は不可欠」と言われるのであれば、(B)および(C)の自由が守られるべきであることを明確に発言をし、福島県の政策についても、「被曝が少ない地域からの食べ物購入費に対する補助金」や「一時的移住に対する補助金」などをもうけることで、実質的に(B)および(C)の自由が保障されるように動くべきではないか、ということを聞いてみたいと思うのです。
山下副学長が「個人の選択肢を否定したことは一度もありません」とおっしゃるのであれば、個人に選択肢があることおよびそれを実現するために、福島県としても支援するこべきであることを山下副学長の言葉としてお答えいただきたいと思うのです。
(B)および(C)の自由に対する制約がいかなるストレスを招いているか、そのことを考えると、山下副学長が言われる「誤解」を解く義務が同副学長にはあるはずだからです。
以上が、科学的な問題からは少し離れたところ、しかし、一番重要な点に関する再質問の骨子です。
そこで、「これに付け加えて、これも聞くべきだ」、とか、「いや、その再質問はこのポイントがずれているよ」、などの意見を募集します。コメント欄に残して下さい。
締め切りは、11日とします。