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小沢金権体質ラベリングは、民主主義の否定につながる(日隅一雄)

 

小沢灰色説の背景にある小沢金権体質のラベリング~これは本当に問題視すべきことなのだろうか?何人かの方から、小沢金権体質批判は正しいという意見をツイッターでいただいた。それこそ、実は私が問題にしたいことだった。

あなたは、国会議員に何を望みますか?

国会とは立法府ですから、当然、国民にとって必要な法律を検討し、制定すること、ですよね。

で、複雑化した日本の社会で、あなたは、国会議員一人で、それを実現することができると思いますか?

おそらく、24時間眠らなくても、無理でしょう。当然、平行して選挙対策もしなければならない。こちらの活動も議員が直接行わなければならないとすると、今度は、立法に関わる活動がおろそかになる。

だから、本気で立法活動や選挙運動ををしよう、と思う者は、支える者、つまり、秘書を雇用せざるを得ない。

日本では、政策秘書+2名の秘書を雇用するための費用は国費から出される。

アメリカでは、何人分が税金から出ているかご存じですか?

IIPSのレポートによれば(※1)、

さらに、国会の委員会に議員が利用できるスタッフが配属されており、その数は、下院約1000人、上院約500人にも上るという(※1)。

※1 http://www.iips.org/bp301j.pdf

 

米国では、これだけのスタッフ(下院で一人あたり合計20名を超えるスタッフ)が税金で雇用できるからこそ、議会で活発な議論が行われる。

これに対し、日本では、党議拘束もあるため、党内の手続きが済めば、何も考えずに、党の意見通りに票と投ずればいいわけだ。しかも、党内の手続きがきちんとされているかといえば、消費税の議論でも明らかになったが、民主主義的な手続きはとられず、議長一任などという処理が平気でなされる。いかにも野蛮だ。

脱線しましたが、本気で立法活動、選挙活動をしようと思うと、10数名、数十名のスタッフが必要だと言うことです。

 

自民党は長期政権時代、この点を国民に訴えることなく、官僚が主導する立法を良しとしてきたわけだ。自分たちは、官僚の決めた範囲内で利権を左右することで、献金や票につなげてきた。これでは、実際には立法府としての体裁をなしていない。

本気で政治に取り組めば、秘書の数を増やさざるを得ない。また、自分が実行しようという政策を実現するためには、同じ政策を実現しようとする仲間を増やすのは当然であり、仲間を増やすために働いてくれる秘書も必要になるだろう。

小沢さんは十数人の秘書を雇用していると言われている。小沢さんくらいのキャリアであれば、むしろ、少ないくらいだ。

日本では、この雇用のための費用は、国費から出ない。となれば、自分の資産でどうにかするほかない。もしかしたら、どこかで資産運用をしているかもしれない。でも、それをしなければ、本当の意味での政治活動を行うことができないからに過ぎない。

で、資産運用が法に触れれば問題だと思う。議員活動で知り得た情報、普通の人が得られない情報をもとに、金を稼いでいるなら、問題だが、そうではない、通常の資産運用であれば、それを問題にする必要はないと思う。

小沢さんが金権体質だとかいう人は、

(1)小沢さんが資産を増やす行為を問題にするのか?もし、そうだとしたら、秘書は3人で我慢しろ、ということなのか?その場合、立法府としての機能は果たせないと思うが、その点はいかにして克服するのか?

(2)小沢さんが資産運用をしているとして、それは政治倫理や法に触れることなのか?もし、そうでないとするならば、秘書を雇うための費用を税金からではなく、私財から出していることはむしろ賞賛すべきくらいのことではないか?

という私の疑問にどのようにお答えになりますか?

 

いま、身を切れといい、議員の数を減らすよう述べるコメンテーターが多い。これも官僚には都合がいいことだ。議員の数を減らし、財布を締め付け、議員が実質的な活動ができなくなれば、官僚はチェックも受けず、自分たちがやりたいことができる。民主主義とは何なのか、日本で民主主義を実現するには何が必要なのか、マスメディアのジャーナリストは正面からそれらを考える義務を負っていると思うが、とても義務に応えているとは思えない。