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「G7エルマウ・サミットで日本などの抵抗を押し切り、先進7カ国は温暖化ガス排出量の大幅削減で合意」(大貫康雄)

エルマウでのG7先進7カ国首脳会議で話し合われた問題の一つ温暖化対策で、NHKはじめ大かたのマスコミが何点かきちんと報じなかったことがあり、その一つを指摘する。

 

G7各国は気候変動化対策で温暖化ガス排出量を、2050年までに2010年基準で40%~70%の大幅削減で合意を宣言した。宣言を読むとG7各国は、更に“今世紀中に排出を最終的にゼロに”、“世界の平均気温上昇を2度以内にする”ことでも合意した、という画期的なもの。

この合意は日本の安倍首相とカナダのハーパー首相の抵抗を抑えて実現したことを指摘しておく。

 

イギリスのガーディアン紙などは今回の画期的合意は、“、気候変動と闘う首相(climate chancellor)メルケル首相がG7首脳らの襟首を捕まえて(Angela Merkel took the G7 by the scruff of the neck)実現”、“特に手に負えない反抗的な日本とカナダを説得して今世紀中に温暖化ガス排出量ゼロ(化石燃料の利用をゼロ)に(persuading climate recalcitrants such as Japan and Canada to sign up for phasing out fossil fuels by 2100)合意させた”、などと記し、メルケル首相の指導力と業績を讃えている。

 

(安倍総理は国内だけでなく国際的にも嘘や誤魔化しを続けている人間だ。筆者はまさか安倍総理が、国際公約の中の国際公約であるG7合意を誤魔化して行くことは無いと思うが、それでも何処まで遵守するか疑念を持っている、、、)

 

 メルケル首相の強気には理由がある。昨年末リマで開かれた国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)

で、それまで消極的だったアメリカと中国が温暖化ガス排出量削減目標を表明。1990年基準にするとEUの目標には遠く及ばないが、アメリカは日本以上に排出削減を進めている。中国を7回も訪問しているメルケル首相、中国も各国の予想より大幅に削減しつつあるのを理解しているからだ。

 

今年12月パリで開催予定のCOP21で国際社会は2020年以降の新しい温暖化対策に取り組むことになっており、米中両国ともこれまで以上に積極的に削減に取り組むと見られている。

 

そのCOP21の前にG7で打ちだされた今世紀中に温暖化ガスゼロに削減、平均気温の上昇を2度如何に抑えなければならない。

 

この目標達成に日本は“2013年度比で26%削減”、などでお茶を濁すことはできない。今早急に取り組まないと実現できない恐れがある。問題の先送りは許されず2050年までの削減計画を国際社会に提示しなければならなくなった。

 

温暖化ガス排出削減への国際社会の取り組み、日本政府が誤魔化している内に、日本のマスコミの報道では判らないくらいに野心的になっているのだ。

 

(文:大貫康雄、写真:首相官邸ホームページより〉