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民自協力は野田政権の統治能力欠如と人材不足の結果だ(藤本 順一)

「消費税増税法案が成立したら速やかに国民に信を問うべきだ」

9日の衆院予算委員会で質問に立った自民党の谷垣禎一総裁は語気を強めてこう述べた。これに対して野田佳彦首相は「一体改革も含めてやらないといけないことをやり抜いたあかつきに国民の信を問いたい。特例公債法案などの案件もある」と答弁。つまりは消費税増税法案の成立を引き換えにした話し合い解散を否定したのである。

谷垣総裁は「(首相に)十分な覚悟がなければ、わが党は参院で重大な決意を持って臨む」と問責決議案提出をちらつかせて畳み掛けたが、野田首相は平然として「3党合意をしっかり踏まえた法案が参院できちっと成立できるように、全力を尽くして責任を果たしていきたい」と述べていた。

「今国会会期中に解散総選挙に追い込む」としていた谷垣総裁である。このままズルズルと国会会期末を迎えれば、9月に予定されている自民党総裁選で再選される見込みはない。

それならいったい何のための3党合意だったのかと怒りの矛先が野田首相に向いてしまうのも無理のないことだ。

かといって国民生活に直結する税と社会保障の一体改革を政局の道具にするようでは、かつての無責任野党と同じである。褒められたものではなかろう。

早期の解散総選挙を望む気持ちは国民も同じである。民主党政権下、日本列島を再び巨大地震が襲ってきたらと思い浮かべるだけで空恐ろしく、あるいは消費税増税を受け入れたくとも、景気の先行きが不透明では財政再建どころの話ではない。その起因するところが、民主党政権の統治能力の欠如と人材不足であることは明々白々。だからこそ野田首相は恥を忍んで自民党に助けを求めてきたのである。周知のごとく、本欄が特に3・11以降、強く主張してきた民自協力、大連立の意味するところだ。

もっと早くに民自両党が手を結んでいれば、被災地の復興はもっと捗っていたはず。あるいは外交安保の立て直しには自民党の知恵と経験が必要だ。景気対策しかり。野田首相に解散する気がないのであれば、政治の安定のため、谷垣総裁には問責決議案の提出などと言わずに、もっと大きな土俵で勝負していただきたいものだ。

 

東京スポーツ「永田町ワイドショー」2012年7月11日掲載