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企業事件簿~JALと税金問題(森 功)

中央公論「企業事件簿」はJALと税金問題

今月発売の中央公論「森功の企業事件簿」は再上場を申請したJALについて書きました。会社更生法が適用されたJALは史上最高の利益をあげながら、これから先もしばらく法人税を納めなくていい。JAL側は当然の権利であるかのように言いますが、やはり制度上の矛盾を感じます。以下、中央公論の冒頭。

日本航空(JAL)が今年九月の株式再上場を東証に申請した。経営破綻処理に伴う二〇一〇年二月の上場廃止から二年七カ月。倒産手続きをした上場企業は、悪ければ破産手続きに移行、再生が順調に進んで再上場する場合でも、よくて六年ほどはかかるだけに、まさに異例のスピード再上場といえる。

国交省をはじめ関係者たちは、もろ手を挙げて喜び、破綻処理当時の国土交通副大臣だった辻元清美などは、「民主党の政策の中で数少ない成功だ」と自画自賛しているというから、おめでたい。

周知のように、JALは経営破綻後に収益がV字回復し、今年三月末に史上最高額の利益を叩きだしたばかりだ。営業利益で二千四十九億円、純利益でも千八百六十六億円に達し、大きく水をあけられたライバルの全日空(ANA)が「公平な競争環境を確保しほしい」(伊藤信一郎社長)と泣きを入れる始末だ。

稲盛和夫名誉会長による経営が功を奏したかのように伝えられる。が、経営手法そのものが大きく変わったという実感はない。

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