キング特使の「めぐみさんの写真」発言(辺真一)
一昨日、静岡市内のホテルで「激動する朝鮮半島情勢と日朝関係のこれから」をテーマに講演を行ってきた。会場には経済人を中心に地元有力者ら80人ほど集っていた。
演題は「激動~」となっているが、不透明だった半島情勢はここ1か月は安定しており、平穏を保っている。何よりだ。
核問題から拉致問題にいたるまで北朝鮮問題を中心に幅広く語ったが、その拉致問題では米国からキング北朝鮮人権問題担当特使が来日し、昨日松原拉致担当大臣と会談したそうだ。
報道では、キング特使は「キム・ヘギョンさんが持っていためぐみさんの写真は40歳くらいで、北朝鮮側が主張する29歳で死んだ、という話はとても信用できない」と語ったそうだ。見た目をありのままに語ったのか、何か情報を持っての感想なのか、実に気になる発言だ。
横田めぐみさんが韓国人拉致被害者の金英男(キム・ヨンナム)さんと結婚し、ヘギョンさんを生んだのは1987年9月で、そのことは「赤ちゃん(ヘギョンちゃん)が生まれたときは皆でお祝いした」との蓮池夫妻ら帰国拉致被害者らの証言がある。めぐみさんは1964年10月生まれだから22歳になる直前にヘギョンさんを産んだことになる。北朝鮮の発表では、それから7年後の1994年4月、29歳で亡くなったことになっている。
めぐみさんが蓮池夫妻らと太陽里の招待所で1993年まで暮らしていたことは「ヘギョンさんが幼稚園の頃、めぐみさんが 体調を崩して入院し、 その際、ヘギョンさんを自分たちが 一時預かって育てていた」「めぐみさんはいつも日本に帰りたいと言っていた」「船に乗れば、日本に戻れるかもと考え、ふらっと出かけて警備員に連れ戻された」との蓮池夫妻の証言がある。さらに同じ帰国者である地村夫妻は「めぐみさんは94年6月に自分たちの隣に引っ越してきた。数ヶ月そこに暮らしていたが、その後の行方はわからない」と証言していた。
問題の写真は日本で公開された時点で蓮池・地村夫妻らはとっくに見ているはずである。この写真が何歳の時の写真かもわかっているはずである。従って、来日した折にキング特使は自分の見た目が間違ってないか、一度、彼らに会って、確かめてみたらどうだろうか。
キング特使のこの疑問に松原大臣がどう答えたのかも知りたいものだ。