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森本敏防衛相就任の報道に接して(辺真一)

防衛大臣に顔なじみの森本敏さんがなった。森本さんは非常に気さくな方だ。

コメンテーターとしてテレビで何度もご一緒したせいか、親しみを感じている。だからこそ、気乗りしなかったある集会でのパネリストを要請された時も、森本さんの頼みなのでお受けしたこともあった。

お互い講演が多いこともあって、新幹線の同じ車両に居合わせることもあった。隣の席が空いていれば、旅は道ずれとばかり、同席し、拉致問題や北朝鮮問題を論じたものだ。

今回の森本さんの防衛相起用について政治家からでなく、民間から起用されたことでいろいろと物議を呼んでいるようだ。

「国民の信託を受けてない民間人がふさわしいのか」というのが反対論の軸となっているが、日本人特有の議論だ。世界各国を見れば、民間人からの登用はいくらでもある。同盟国の米国でも民間人出身の国防長官は何人もいるではないか。

米国の国防長官は現在のレオン・パネッタ国防長官を含め、これまで23人就任したが、ケネディ政権のマクナマラ長官は元フォード社長、クリフォード長官は弁護士出身、カーター政権のブラウン長官とクリントン政権のペリー長官は森本氏同様に学者から転身している。ブッシュ政権のゲーツ氏は元CIAの分析官だった。

「安全保障上の秘密保持」という観点から疑問の声を上げる人もいるが、国益に直結した最高の外交機密を知り得る立場にある外相のポストに日本は過去に民間人を起用していたではないか。

古くは岸政権の時に財界から藤山愛一郎氏が、大平内閣ではエコノミストの大来佐武郎が外相に登用されていた。

森政権下でも通産省を退官し、サントリー常務取締役になっていた川口順子さんが初代環境大臣に起用された後、小泉政権下では重責の外相に起用されたのはまだ記憶に新しい。同じ論に立てば、これも問題ではないのか?

「政治家でないと務まらない」とは、政治家以外の誰も思っていないのではないだろうか?