ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

上杉隆の「ニッポンの問題点」『 東京五輪問題 3 』

さて、そんな状況にもかかわらず、石原都知事が再び招致活動を決意した背景 には「カジノ構想」があったことにはきちんと触れておかなければならない。 東京オリンピック開催後のインバウンド市場の拡大を見込み、臨海部等の大型 公共事業を起爆剤として、カジノ構想の実現によるアジア・ナンバーワンの都 市東京を再興しようというのが石原都知事の野望だったのだ。わたしは、この 野望に反対する材料を持ち合わせていない。財政再建団体転落直前のあの惨め な都政の現状を知っているからだ。東京は自信を失っていた。国の管理に入る という自治体としての「死」が迫っていた。2016年7月、わたしは都知事選へ の出馬を準備しながら、理想と現実の葛藤の中で、コペンハーゲンの空港での 会話を思い出していた。東京オリンピックを開催するという石原都知事の夢の 手伝いをすることを、2009年のコペンハーゲンで密かに決めていたのである。
  • 会員登録