ダイヤモンドの輝きとその裏側(1)
今回のメルマガは2004年から上杉隆が取材を行なっていたダイヤモンドに関す
る記事です。文藝春秋2005年1月号に掲載された「ダイヤモンド神話の幻」を
ご紹介します。
クリスマスシーズンを迎えて、東京・銀座の街角は美しい光に彩られている。
ミレニアムを迎えた西暦2000年頃から、銀座の中央通り周辺では、高級ブラン
ド店の出店が相次いだ。ハリー・ウィンリストン、ティファニー、カルティエ、
ブルガリ・・・・。店内のショーケースには、輝く無色の小さな石がひしめい
ている。ラウンド・ブリリアント・カットと呼ばれる58面体から放たれる光は、
多くの買い物客、なかんずく女性たちの視線と心をひきつける。
2003年9月、その一角、銀座松屋デパートの1階入口に登場した新たなブラン
ド店は、業界の注目を集めた。その理由はただ1つ。南アフリカなどに鉱山を
所有し、全世界の宝飾用ダイヤモンド原石のほぼ半分を供給するデビアス・グ
ループが、初めてそのブランドネームをつけた小売り店舗を展開したからであ
る。