赤、白、それともモルヒネ?(3)
到着したシャルル・ド・ゴール空港には、前日に大雪を降らせた雲が垂れ込め、肌を刺す冷たい風が吹いていた。ついに私はアフリカ大陸からただの一度
も関節を曲げることなく地中海を越え、パリまでやって来たのだ。
救急車が着いたアメリカンホスピタルはパリ17区に接した高級住宅街の真ん中に位置する。丘の上にある白亜の建物は4階建てで、私は3階の個室に運ばれた。
軽い検査の後、私の身体にはたくさんのチューブが付けられた。大仰な緑色の機器から延びたそのうちの1本は、途中で二股に分かれ、それぞれ針の先端が、私の腹と背中に刺さっていた。女性看護師のマガリが英語で説明する。