赤、白、それともモルヒネ?(2)
チュニジアの軍病院で、怪我の大まかな状況が判明した。受傷部位は大きく3つに分かれる。ひとつは左顔面上部の裂傷。左の額が割れて激しく出血して
いた。幸い脳にダメージはなく、裂傷もまぶたで終わり、軽い視覚障害は残ったが、辛うじて眼球も守られた。2つ目は左膝の高原骨折。脛骨が衝突の衝撃で縦に裂け、半月板の間にある骨が飛んでしまっていた。そして一番厄介だったのが3つ目の大腿骨脱臼による骨盤の粉砕骨折だ。大腿骨がハンマーの役割をして、骨盤を叩いてしまったため、腰の骨が粉々になったのだ。問題は、その際に坐骨神経、すなわち腰椎と仙椎に損傷を与えてしまったことだ。それが後々、強烈な神経の痛みを引き起こすことになる。