安保法制合憲論の西修名誉教授は小林節名誉教授を避けていた。今度は逃げずに小林名誉教授と公開論争を!(大貫康雄)
「安保法制は憲法違反」、憲法学者の圧倒的多数が声を挙げるのに対し、駒澤大学の西修名誉教授と日本大学の百地章教授が19日、日本記者クラブで記者会見。
「国連憲章51条が集団的自衛権の行使を認めている」、との理由で「現憲法でも集団的自衛権の行使は可能だ」、などと安倍政権の意向に沿った主張をした。
会見に出た記者の多くは安倍政権の宣伝機関と化したマスメディア所属であり、鋭い質問はなく、両氏の発言を垂れ流す報道が大半だった。安倍政権の思惑に沿った世論工作の動きであろう。
この2日前の17日、慶応大学の小林節名誉教授は自由報道協会のトークライブに出演、西修名誉教授についてこう話していた。
「西修氏には以前から論争を呼び掛けているが、学者の集会などでも、私がいると判ると何時も避けていた」と、小林節名誉教授が苦手なのか、徹底して避けていたことを明らかにした。
西修名誉教授は、日本記者クラブで記者会見する位に自分の説が論理的に正しいと確信し、学者としての良心があるのであれば、これ以上小林節名誉教授を避けるのは止め、公開論争でもするべきだろう。
西修名誉教授と百地章教授は既に指摘されているように、
”右翼国家主義的安倍政権を背後で支える“と海外メディアで報じられる「日本会議」の一員。
菅義偉官房長官が、“3人”を“多くの”と言う苦しい発言をして挙げた2人の学者。
御用学者らしく、早速記者会見。安倍政権擁護の証拠づくりに加担した、と言われても仕方がない。
欧米では学者同士の公開論争は珍しくない。20世紀前半、経済学者のケインズJohn Maynard KeynesとハイエクFriedrich August von Hayekの二人が、何回も記者団や一般徴集の前で公開論争をしたのは良く知られる。当時はケインズの経済理論が多くの支持を得て終わった。
89年から91年にかけても「常温超電導」で賛否両論が巻き起こり「常温超電導」に成功したと主張する学者2人がロサンゼルスで記者会見したが、反対論の学者や記者たちの鋭い質問に応えられず、「常温超電導」論争は終わった。
集団的自衛権行使容認の閣議決定、それに基づく「安保法制」、国民大多数には、どう見ても憲法違反としか判断できない。
それでも再考を拒否し、国会の会期を大幅に延長してまで「安保法制」採決に向け突っ走る安倍政権。これは学界内の問題では無く、国民の将来に大きく影響する大問題だ。
「安保法制合憲」を主張する学者は、「違憲」と判断する学者と国民一般の前で堂々と小林節名誉教授たちと公開論争するべきだろう。
協力要請があれば自由報道協会のジャーナリスト達は、喜んで場を提供するだろう。
〈文:大貫康雄(公益社団法人自由報道協会代表理事)、写真:6月17日の自由報道協会トークライブの様子〉