日本語のオリジナル・ミュージカルで国際交流 インドネシアの学生劇団en塾の試み【前編】
来たる2015年4月3日(金)に熊本で、7日(火)に福岡で、インドネシアの大学生劇団en塾が公演を行う。そこには、日本とインドネシアの、演劇を通じた交流のドラマがあった。
インドネシアの首都ジャカルタにある学生劇団en塾は、2009年、全編日本語での完全なオリジナル・ミュージカル上演を通じ、日本語と日本文化を学ぶために旗揚げされた。劇団員は、インドネシアで日本語を学習、もしくは芝居・衣装・舞台美術など演劇に興味のある大学生を中心に、90名ほど。元アナウンサーで、現在はインドネシアでの日本語・日本文化の普及に尽力する甲斐切清子氏の指導・脚本・演出の下、年間を通じて精力的に活動している。
en塾が日本で注目を集めたのは、2011年3月のこと。新作ミュージカルを準備中だった彼らは、練習開始日の3月11日に起きた東日本大震災を受けて、劇中歌『桜よ』(作詞は甲斐切清子氏、作曲はen塾創設以来のメンバー、ヌルファドリ・プラタマ氏)に日本への励ましの歌詞を加えて収録し、インターネット上に動画を掲載したのだった。この動画が政府関係者の目に留まり、安倍晋三首相の2013年の自民党大会のスピーチで紹介されたのは、en塾にとっても想定外のことだったようだ。
そして2014年4月、en塾初の日本公演が実現。熊本インドネシア友好協会、青少年交流を通じてアジアの連帯に土台を与えるJENESYSプログラム、インドネシアの日系企業の支援などを得て、東京と熊本で、2012年初演の『吾輩はニャンコである』を上演。en塾メンバーたちの、素朴ながらもストレートな演技や歌声が、感動を呼び、アンケートには「私は現在インドネシア語を学んでいるので、インドネシア人の大学生が私たちと同じように日本語を学んでこのように劇をしていることをうれしく思いました」(20 代女性)、「2時間も日本語で劇をするなんて。感動しました!」(60 代男性)、「歌もダンスも、殺陣もすばらしい。特に乱闘シーンは迫力もありました。気持ちのこもったセリフ、歌、感動しました」(50 代女性)などの声が寄せられた。
メンバーたちは日本滞在中、劇団四季のミュージカル『ライオンキング』を観劇し、浅利慶太代表(当時)や、インドネシアを題材とするミュージカル『南十字星』のキャストとも面会。刺激を受け、劇団四季のオーディションをうけるために猛特訓を始めた学生もいるという。
さらに福島へ赴き、福島大学の4学類(人間発達文化学類、行政政策学類、経済経営学類、共生システム理工学類)の学生の有志、福島大学混声合唱団、福島大学災害ボランティアセンターに所属する学生などと、一緒に歌を歌って束の間の交流を楽しんだ。
後編では、この初日本公演を、en塾メンバーや日本人スタッフがどう感じたかをご紹介しよう。
【公演情報】
熊本公演: 2015年 4月3日(金) 18:30 市民会館 崇城大学ホール
問合せ:劇団en塾熊本公演実行委員会
TEL:096-382-9223
Mail:studylifekumamoto@abox3.so-net.ne.jp
福岡公演:2015年 4月7日(火)18:30 ももち文化センター 大ホール
問合せ:劇団en塾福岡公演実行委員会
TEL:092-534-6153
Mail:fukuoka@enjukuindonesia.com
【en塾について】
http://www.enjukuindonesia.com
http://jccindonesia.com/enjuku.htm
2014年公演『吾輩はニャンコである』より
劇場入りし、上演のための作業をする生徒とスタッフ
カーテンコールにて