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中国は超氷河期、150万の新卒が就職できず

(深圳市内の工事現場で働く人々=筆者撮影)

 

 先日、北京に滞在中、久しぶりに経済紙幹部の中国人の知人に会った際、「息子の就職で大変だ。毎日毎日、企業回りをしている」とぼやいていた。息子さんは来年6月に北京の大学を卒業する予定で、いま就活の真っ最中ということだ。なかなか決まらないのを心配した知人がツテを頼りに、息子の就活を手伝っているというのだ。

 

 そういえば、中国の人事社会保障省は24日、今年1~3月期の都市部の新規就業者数が324万人と、前年同期の水準を20万人下回ったと発表している。新規就業者数が減ったのは、リーマン・ショック後の2009年以来、初めてだ。日経新聞は「中国政府は経済政策運営で雇用の安定を最も重視しており、インフラ整備の加速など景気の下支え策の強化に動く公算が大きい」と予想している。

 

 そういうこともあって、知人から詳しい話を聞いてみると、今年の新卒者数は749万人で、これは李克強首相が全国人民代表大会(全人代)で発表したという。昨年の日本の新卒者数は16万5500人なので、中国は日本の13倍以上となる。膨大な数だ。

 

 しかも、昨年の就職の状況から考えると、そのうちの20%に当たる150万人が就職できない見通しだ。中国政府系シンクタンク、中国社会科学院は昨年の段階で「大卒者のうち就職できない若年労働者は中国全体で200万人を超えている」と推測しており、中国の就職氷河期の深刻さが分かろうというもの。

 

 しかし例外はある。それは党・政府幹部の子息である。高虎城・商務相が2008年、米商務長官や大統領首席補佐官を務め、当時の米金融大手JPモーガン・チェースの経営幹部だったウィリアム・デーリー氏に自分の息子が同社に就職できるように直接頼み込んだという話は有名だ。

 

河北省曹妃甸で働く人々-1

(河北省曹妃甸で働く人々=筆者撮影)

 

 高氏は3月の全人代での記者会見で、この話題に質問が集中することを恐れて、海外メディアに事前に質問を提出させたにもかかわらず、フタを開けてみれば、中国メディアだけを指名したことが海外メディアの大きな不満を招いた。

 

 高氏ばかりでなく、米国に留学した党・政府高官の子弟が著名な金融大手やIT関連企業に就職するケースが増えているようだ。例えば、温家宝・前首相や江沢民・元国家主席、朱鎔基・元首相らの名前を挙げることができる。

 

 このため、就職できない青年の不満は高まっており、「一触即発の事態が予想される」と北京の知識人は警告する。

 

 元検事総長で弁護士の但木敬一氏が日経新聞夕刊のコラムで、失業率と犯罪の発生件数がほぼ比例するとの趣旨の内容を書かれていたが、これは中国にも当てはまるだろう。李首相が全人代で1000万人の新たな就業者数を生み出すために7%という経済成長率を打ち出したと指摘しており、それだけ失業問題は中国の新たなアキレス腱になりかねない。