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「ネット検閲解任」で日本も中国ばりの言論統制社会へ⁈(藤本 順一)

菅義偉官房長官が議長を務める政府の情報セキュリティー政策会議は、10日に正式決定した「サイバーセキュリティー戦略」の中で現行の電気通信事業法が禁じるインターネットの解析や通信内容の履歴保存など、いわゆる「通信の検閲」を可能にするよう法改正の検討を打ち出した。前提にあるのはより複雑、深刻化するサイバー犯罪に対応するためだとか。はたして狙いはそれだけか。

政府は先週7日、外交・防衛政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)設置関連法案を国会に提出、機密情報の漏洩防止を目的にした秘密保全法案をワンセットにして秋の臨時国会で成立を目指す。

菅官房長官は同日の記者会見で「情報漏洩に関する脅威は高まっている。外国との情報共有は(秘密が)保全されるという前提の下で行われる。秘密保全法がなければ、きちんとした情報は取れない」と述べ、両法案の必要性を訴えた。

建前はともかく、「通信の検閲」や2016年から導入される「社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度」と重ね合わせれば、国家による情報統制、個人情報の管理を強化したい安倍政権の狙いははっきり読み取れよう。

折しも米国では国家安全保障局(NSA)や連邦捜査局(FBI)がテロ捜査のためと称し、グーグルやヤフーなどインターネット大手9社の管理サーバーに侵入し、電子メールや利用履歴などの個人情報を秘密裏に収集していたことが発覚。人権擁護団体「米自由人権協会」は11日、これを「われわれの家族や政治、職業、宗教、交遊関係についての詳細を暴露するものだ」と批判し、政府を相手に通話監視の停止や収集した情報の消去を求める訴えを起こしている。

これについて菅官房長官は12日の記者会見で口数少なく「詳細は把握していないが、あってはならないことだ」と述べた。

そのあってはならないことが起きたのだから、法の運用はいわば時の権力のサジ加減でどうにでもなるということだ。メディアも国民も株価の乱高下に一喜一憂している場合ではなかろう。

【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】

※トップページフォト:Internet2 (Wikimedia Commons /Author:Fabio Lanariより)