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2017年10月16日
「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(198) パラアイスホッケー日本代表、平昌パラリンピック出場権獲得!
ここ数日、秋から冬へと空気がかなり冷たく感じるようになってきましたが、そんななか、北欧から嬉しいニュースが届きました! 来年3月開催の平昌(ピョンチャン)パラリンピックへの出場を目指していたパラアイスホッケー日本代表が出場権を得たというニュースです。日本代表がパラリンピックに出場するのは、2010年バンクーバー大会以来、2大会ぶり5回目となります。



↑ピョンチャンパラリンピック最終予選前記者会見で、真新しい代表ユニフォームを掲げ、気持ちを高める中北浩仁監督(左)と須藤悟主将(9月25日=星野恭子撮影)

 

日本代表は9日からスウェーデンのエステルスンドで行われていた最終予選大会に臨んでいました。参加5カ国(チェコ、ドイツ、スロバキア、スウェーデン)の総当たり戦を経て、上位3チームがピョンチャンへの切符を得るという大会で、日本は初戦のドイツを6-2、2戦目のスウェーデンも3-2で下し、大会2日目を終えて勝ち点6の2位につけていました。

 

日本は3日目には試合がなかったのですが、他チームの対戦結果により、3位以上が確定。その後のスロバキア戦も4-2で勝利し、最終チェコ戦は0-1で破れたものの、勝ち点9を積み上げて、チェコ(勝ち点12)、スウェーデン(同4)とともにピョンチャンへの切符を手にしたというわけです。

 

これは一度どん底をみた日本チームの再生への第一歩です。日本代表は1998年長野パラリンピックで初出場して以来、4大会連続で出場を果たし、実は、2010年バンクーバー大会では銀メダルを獲得しているのです。日本の団体競技としては、夏冬通して初となるパラリンピックでのメダル獲得でした。さらに、準決勝では優勝候補だった地元カナダを破る大金星を挙げたことも評価されました。

 

でも、このあと日本は低迷期に入ります。バンクーバー大会後、主力選手も含めた約半数が引退します。新たな選手の発掘も進まず、4年前のソチ2014大会は最終予選でドイツにわずか1点差で敗れ、出場を逃がしてしまったのです。

 

「このままでは、日本のパラアイスホッケーの火が消えてしまう」

 

危機感を抱いたメンバーは中北浩仁監督や須藤悟主将を中心に、地道な強化を進めていきます。最終予選を前に9月11日発表された17名の代表選手にはバンクーバーのメダリストから若手まで幅広く、また引退していたものの復帰したメンバーもいるなど多彩なメンバーが名を連ねました。

 

実は、この17名の平均年齢は41歳。ゴールキーパーの福島忍選手はなんと60歳で、最終予選に臨んだ5チームのなかでも最年長でした。

 

それでも、須藤主将が「経験と、プレッシャーにも負けない落ち着きあるプレイで乗り切りたい」と話していた通り、鬼門だと思われていた初戦のドイツ戦。開始早々30秒ほどでエース熊谷昌治選手のゴールで先制した日本は、そのままゲームを支配して宿敵ドイツを撃破。実はこの試合で、三澤英司選手が骨折してチームを離脱するといったアクシデントがあったものの、チームは動揺することなく、熟練のプレイの数々で最終予選を突破しました。

 

快勝の連続でチームの士気も上がっていることでしょう。でも、今大会を通して見つかった課題もあるはず。本戦までの5か月、チーム一丸となってさらなる強化を期待したいところです。

 

 

パラアイスホッケーとは?

 

パラアイスホッケーは、昨シーズンまでは「アイススレッジホッケー」と呼ばれていました。下肢に障がいのある選手を対象とし、「スレッジ」と呼ばれる競技専用の「そり」に乗って行う競技だからです。とはいえ、「パック」とよばれるゴム製の円盤をスティックで操り、ゴールにシュートして得点を競う、基本的にはアイスホッケーによく似たスポーツであることから、今季よりパラアイスホッケーと名称が変更されました。「氷上の格闘技」と呼ばれるほど激しいコンタクト(体当たり)が競技の醍醐味ですが、悪質なものはファウルとなり、一定時間ペナルティーボックスに入るルールなども同様です

 

ただし、スティックはパックを操るだけでなく、スレッジを漕ぐ役目もあるので、選手は一人で2本のスティックをもちます。また、1ピリオド15分の3ピリオド制(アイスホッケーは1ピリオド20分)で行われるなど、一部のルールは変更されています。

 

さて、最終予選も終わり、これでパラアイスホッケーのピョンチャン2018パラリンピックの代表チームが出そろいました。昨シーズンの世界選手権Aプールで上位に入った5チーム(カナダ、アメリカ、韓国、ノルウェー、イタリア)に、今回の3チームを加えた全8チームが来年3月9日からの本大会で激突します。

 

私もピョンチャン大会は現地に飛んで取材予定。こちらのコラムでも大会情報をお届けします。日本チームの応援もぜひよろしくお願いします。

 

<参考: 日本パラアイスホッケー協会による競技紹介動画>

https://youtu.be/qZ2Tu9KVjss

(1分間。音声がでます。ご注意ください。)

 

(文・写真:星野恭子)