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2012年10月08日
2020年東京五輪招致に「神風」が吹いてきた!?(玉木 正之)

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この原稿は、10月6日付毎日新聞スポーツ面のコラム「時評・点描」に書いたものです。大幅に書き加えて、新たな原稿としてNews-Logに公開します。


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東京五輪開催よりも大事なこと


「神風が吹いてきた」


そんな言葉を東京都の某幹部が口にした。話題はもちろん2020年のオリンピック招致。


ライバルのマドリッドは財政悪化で失業率は危機的状況で失速。さらに2024年はパリ開催が有力とされているため、2大会連続の欧州開催はありえないとも言われている。


2024年は前回のパリ五輪=1924年から百周年。しかもパリは、2008年北京大会の緊急代替地(北京で第2の天安門事件等が勃発したときのため)として準備するなど国際オリンピック委員会(IOC)への貢献が認められ、今年(2012年)の五輪開催がほぼ決定づけられていた。


が、フランス(シラク政権)がイラク戦争に反対したため、アメリカが何カ国かのIOC委員の票をまとめてロンドンに投票したため、パリ・オリンピックは夢と消えた、という経緯がある。


そこで、2024年はオリンピックの創設者クーベルタン男爵の母国フランスで、百周年記念・3度目のパリ・オリンピック……という筋書ができている、という。


そこで、隣国のスペイン(マドリッド)が選ばれることは、ほぼありえないと言われているのだ。


もうひとつの東京のライバル都市イスタンブールは、イスラム圏初の五輪開催として最有力視されていたが、隣国シリアとの内戦が激化して長期化。戦乱はトルコも巻き込み始めた。


そこで都庁の某幹部は「神風」という言葉を口にしたわけだ。その言葉は不適切にしても、東京の五輪招致の可能性が高まったのは事実。


来年2〜4月にはIOCの評価委員が各立候補都市を視察する。そのとき、今まで他の都市よりもかなり低かった東京都民の「開催賛成」の声がグンと伸びれば、2度目の東京五輪も正夢となりそう……という情勢にあるという。


とはいえ、一過性のお祭り騒ぎと経済効果ばかりが注目されるオリンピックではつまらない。


昨年成立したスポーツ基本法には、スポーツ庁について「必要な措置を講ずる」と記されている。五輪招致が決まれば、その設置も実現すると聞く。


しかし、それは話が逆だろう。


オリンピックは文部科学省、パラリンピックは厚生労働省と縦割りのスポーツ行政を、まずスポーツ庁に統一する。それこそ五輪招致よりも先に手をつけるべきことではないか。


さらに、メディアの支配が強すぎるプロ野球や高校野球の野球界も、単一のスポーツ(ベースボール)組織に統合。大相撲も学校体育も、一般人の生涯スポーツも、すべてスポーツ庁管轄にすれば、予算の節約にもなり、基本法に記された「国家戦略」としての「スポーツ立国」にもつながるはずだ。


そうなれば、たとえ五輪招致に失敗しても、幸福で豊かな社会作りにはつながるはずだ。


今日(10月6日)は、石巻で東京五輪招致と連帯した「第2回武道フェスティバル」が去年に続いて催され、柔道・剣道・空手・フェンシングなどの一流選手が子供たちを指導する。こんな地道な活動こそ大事にしたいものだ。


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加筆分はあるが、毎日新聞に書いたコラムは、だいたい以上のようなものである。が、石巻の「武道フェスティバル」と東京五輪招致の関わりについて、さらに少々説明を加えておきたい。