ニューズオプエド

ノーボーダースポーツ詳細
2016年11月29日
「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」 (161) 「TOKYO2020」開催前に、障がいのある人とのコミュニケーションを学ぼう!
2020年東京パラリンピック開催時には、アスリートをはじめ、関係者や観客など障害のある人たちが国内外から多数、日本を訪れることでしょう。そうした人々が何らかの助けを必要としていたら、あなたは上手に対応できそうですか?

「ちょっと自信ないなぁ」「お手伝いしたいけど、どう声をかければいいか分からない」なんて人にぴったりのセミナーがスタートしました。パラリンピック競技団体の支援などを行う、「日本財団パラリンピックサポートセンター(以下、パラサポ)」が始めたばかりの新事業、「あすチャレ! Academy」で、障がい者とのコミュニケーションやサポート方法が学べます。

161_1

【写真: 「あすチャレ!Academy」の第1回目の様子。NECグループ社員約50名が参加】
「あすチャレ」とは、明日へのチャレンジの略で、未来を変えるための挑戦を意味します。パラサポでは今年4月から、小中高校の児童生徒を対象としたパラスポーツ体験型授業「あすチャレ!School」 をスタートさせ、全国で実施中ですが、「Academy」のほうは18 歳以上の大人を対象とした新プログラムです。

特徴としては、講師自身も何らかの障害のある「当事者」であること。自身の体験やパラスポーツを題材に、障害について理解する基礎講座や、具体的な応対やサポート、コミュニケーション方法について教えてくれます。講話や体験、グループワークなどで構成された約2時間の講義後には名前入りの修了証も授与されます。

運営には、日本ユニバーサルマナー協会が監修・協力し、講師には視覚や聴覚、身体に障害のある人が講師を務めます。パラサポでは、2020年までに全国で受講者数は10 万人、さらに障害当事者講師 100 名の育成も目標としているそうです。

その第1回目の様子を10月24日に取材してきました。受講生はこの事業の協賛社である日本電気株式会社(NEC)のグループ社員約50名。この日の講師は、先天性の全盲者、原口淳さんで、ユニバーサルデザインのコンサルティングなどを行う株式会社ミライロの社員として、小学校や企業などで同様の講義を行なっている「プロ」。ブラインドサッカーの現役選手でもあり、実体験に基づいたアドバイスを送っていました。

原口さんは、「障害とは、『人』にあるのでなく、『環境』にある」と強調し、例えば、視覚障害者にとっての「障害」は、点字ブロック上に置かれた自転車だったり、文字が読めないことによる「情報不足」であること。だから、その「障害物」を予め取り除いたり、文字でなく言葉で情報を提供してあげればいい、と教えるのです。

もちろん、視覚障害についてだけでなく、聴覚障害者や車いす利用者の「障害の実態」やサポート方法も、ちゃんと盛り込まれていました。

161_2

【写真: 車いすユーザーのサポート体験も】

受講生の一人は、「帰宅したら、今日の学びを家族に話し、行動に移していきたい」と感想を話していました。また、受講者のなかには盲導犬を連れた視覚障害当事者の方もいて、「自分たちのことを知ってもらえるのはありがたい。また、(聴覚障害者など)他の障害者のことを知れてよかった」などと話していました。私も、ふだんパラアスリートと接する機会は多いですが、「なるほど!」と思うお話も多く、とても参考になりました。

こちらの講座、まずは東京都と大阪府内から実施予定で、来年度以降は順次、場所を増やしていくそうです。第1回はNEC 社員対象でしたが、基本は18歳以上の個人が対象で、受講料は1人4000円(学生は2000円)です。もちろん、企業や団体単位でも受講できます。詳しい内容や日程、受講申し込みはこちらのウェブサイトからできます。https://www.parasapo.tokyo/asuchalle/academy/
「あすチャレ!Academy」のキャッチフレーズは、「いま知ることが、あしたを変える」。少しの知識や経験が、困っている人に手をさし伸べたり、一歩を踏み出したりする自信になる。改めて実感しました。

(文・写真: 星野恭子)