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2012年12月12日
「冬の競技=自然との闘い」とキム・ヨナ高得点の怪?(玉木 正之)

スピード・スケート、フィギュア・スケート、スキー・ジャンプ、アイスホッケー……等々、ウィンター・スポーツの季節が到来した。


冬のオリンピックが「雪と氷の祭典」といわれるように、冬のスポーツ(Winter Games)は「自然」が主役、「自然」との勝負、といえる。


スキーのジャンプでは一瞬の風の強弱や風向きの変化が勝負の分かれ目となり、風の有無や強弱が、勝敗を左右することも少なくない。そんな「公平性」のないものはスポーツといえない、というのは自然との格闘(自然の生み出す運と不運)の面白さに目を閉じた、それこそスポーツ的でない意見と言うほかない(スポーツとは「公平性」以上に「面白さの快楽」を追求するモノでもあるのだ)。


スピード・スケートの選手は、氷から溶けた水のつくりだす薄い皮膜をいかにうまくとらえるかに、細心の神経を注ぐ。以前、スピード・スケートを見たオリンピック開催県の知事が、「ミズスマシが滑ってるようで面白くない(迫力がない)」と言って顰蹙を買ったことがある。が、氷を削るとブレーキになるから、まさにミズスマシのように滑ることと、前進する力を得るために氷をどのように蹴るか……の勝負なのだ。


夏の大会でも、時に猛暑や雨がスポーツの結果に影響を与える場合がある。が、走るのは人工的に作られたアンツーカー(全天候型トラック)や、人工のアスファルトの上である(クロスカントリーは土の上を走るが、マラソンは舗装道路の上を走るのがルールで決められている)。


また、闘うのは冷房のきいた体育館のなかであり、人工的に整備された芝生の上であり、泳ぐのは波を消す装置の付いたプールであり、夏のスポーツ(Summer Games)は、ほとんどすべてが人工的環境のなかで行われる。


人間の「身体」はもちろん「人工」ではなく「自然」の存在だから、夏のスポーツは「身体という自然をできるだけ邪魔しない人工の環境のなかで、身体という人間に備わった自然の機能を極限まで発揮させる競技」といえる。


それに対して冬のスポーツは、「大自然のなかで身体も自然の一部であることを改めて認識する競技」という言い方ができるだろう。