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2012年11月21日
本当の地域密着型スポーツクラブとは?(玉木 正之)

地域のクラブは誰が作る?


野田首相の破れかぶれ解散(TPP解散?)で、今年は選挙で年が暮れる。


残念ながら、選挙では、スポーツは話題にならない。


シリア内戦の長期化で可能性の高まっている2020年の東京オリンピック招致についても……、開催は決定しているが認知度が低いままの2019年ラグビーW杯日本大会に向けての準備についても……、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)における「日米地位協定」並みの不公平についても……


……その他、スポーツ界の話題は、まったく選挙の争点にもマニフェストにもならず、最近の日本のスポーツは、日本社会とは掛け離れた存在になっているようにも見える。


前回の衆院選のときは、自民、民主、両党のマニフェストにも「スポーツ政策」の項目があり、大まかに言って、トップ・アスリートの実力強化と五輪や世界大会での活躍を謳ったのが自民党、それに加えて地域スポーツの充実を主張したのが、民主党だった。


もっとも、どちらにも大きな政策上の違いは存在せず(スポーツ政策以外でも同じことが言えそうですが・笑)、昨年、旧来のスポーツ振興法に変わって約半世紀ぶりに超党派によるスポーツ基本法が成立し、今年、ロンドン五輪で史上最多のメダルを獲得すると、「スポーツ政策」は完全に政治の舞台から消えたようにも思える。


しかし日本のスポーツ界の最も大きな「問題」そして「課題」は消え去っていない。それは、一言でいうなら、「学校体育から地域スポーツ(クラブ)への移行」だ。


以下の文章は、2007年2月、大阪市生涯スポーツ振興課が発行した広報紙『大阪生涯スポーツ』に寄稿した原稿(を少々手直ししたもの)である。


今、選挙の季節に、日本の社会と政治には「スポーツ政策」が必要であることを訴えておきたい。


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ドイツのサッカー・クラブを初めて取材したとき(1999年1月)のことである。


HSV(ハンブルガー・スポーツ・フェライン)という「スポーツ・クラブ」の「練習場」を訪れて、わたしは呆然と立ち尽くしてしまった。


そこには、天然芝に覆われたサッカー場が4面もあった。ほかに、天然芝のフィールド・ホッケー場が一面と、テニスコートが約30面!


さらにバスケットボールとバレーボールとハンドボール、それに体操教室が共用している大きな体育館が2棟あり、レストランやバーがクラブの広い敷地の離れた場所に2軒。


そして20人くらいが一度に使えるシャワールームやサウナを備えたロッカールームが事務棟の建物の一角にあった(それにスポーツ用品やクラブのキャラクター・グッズを販売するお店の建物も)。


そこは、ブンデス・リーガの1部で首位争いをしている名門サッカー・チームの一流選手が練習に使う場所でもあり、日本のマス・メディアは、そのブンデス・リーガのチームの勝敗や日本人選手の活躍しか報じない。


が、そこでは、毎日夕方になると、テニス・ラケットを持った仕事帰りのOLや、バスケットボールを抱えた若者たちが、三々五々集まってきているのだ。また、小中学生や、幼稚園に通うような小さな子供たちが、父親や母親のクルマに乗せられて、サッカー教室や体操教室にやってくるのだ。