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2017年11月13日
佐野稔の4回転トーク 17~18シーズン Vol.⑥ これからの宮原の5週間が、五輪代表争いを左右する~ グランプリ・シリーズ第4戦「NHK杯」を振り返って
●5位に終わった復帰戦も、演技構成点は自己ベスト並み 
 左股関節の疲労骨折のため11ヶ月ぶりの試合となった宮原知子でしたが、ブランクの影響が出たところ、感じさせなかったところ。両面あった復帰戦となりました。特に影響が大きかったのはジャンプです。回転不足だったり、3回転の予定が2回転になったりと、身体の内側からあふれ出るような力感がありませんでした。

彼女を指導する濱田美栄コーチが「本格的な練習を始めたのは、大会の2~3週間前」と明かしていましたが、元々が練習に練習を積み重ねていくタイプの選手です。宮原本人も試合後に「ジャンプは成功できたらラッキーくらいのつもりだった」と振り返っていましたが、練習量の少なさが顕著になっていました。

 反対に宮原らしさが変わらなかったのは、指先まで神経の行き届いた強弱ある動きや、技と技との間の丁寧なつなぎといった部分です。表現力を評価する演技構成点だけを比較をすると、宮原の自己ベストである昨シーズンの「GPファイナル」のときのショート・プログラム(SP)が33.65点、フリー(FS)は70.45点でした。そして今回の「NHK杯」は、SPで34.03点、FSが68.52点と、大差なかったのです。順位は5位に終わりましたが、このあたりを踏まえれば、及第点の復帰戦だったのではないでしょうか。

 過去の実績や世界ランキングでは、宮原が他の代表候補たちを大きくリードしています。とはいえ、日本女子には平昌(ピョンチャン)五輪の枠がふたつしかありません。いまの状態のままでは、代表入りに‘当確マーク’は打てません。今後の宮原は2週間後のGPシリーズ最終戦「スケート・アメリカ」に出場、その3週間後に「全日本選手権」を迎えます。この期間に身体と相談しながら、質量の伴った練習をどれだけ積めるのか。自信と体力をどこまで取り戻すことができるのか。それによって、代表争いの行方は大きく左右されます。


●もったいなさの残った本郷、白岩
 「スケート・カナダ」のときにも指摘しましたが、今シーズンの本郷理華は、ひじょうに良い動きをしています。昨シーズンの不調からは完全に脱しました。この大会でも、カナダで出た課題を修正した良い滑りをしていました。ですが、彼女の場合、回転不足のような細かなミスがちょこちょこと出てしまいます。ミスが重なると、どうしても得点は伸びません。本人も反省していましたが、日々の練習から細かな部分にまで、どれだけこだわることができるかの勝負です。本当はもっとできるはずの選手だけに、ひじょうにもったいない印象が残りました。

 白岩優奈は14歳のときに初出場した一昨年の「全日本選手権」で5位になるなど、ジュニア時代に優秀な成績を収めていました。ところが、昨年4月に左スネを骨折、12月には腰を疲労骨折に襲われてしまいます。そうしたアクシデントを乗り越えての大舞台。地元・関西での大会とあって、プレッシャー以上に感慨深いものがあったのではないでしょうか。

 今回はFS後半のジャンプが不発に終わってしまいましたが、ただでさえ2日続くSPとFSを揃えるのは難しいところに、シニアのGPシリーズのデビュー戦とあっては、それも無理ありません。いきなりメダルを獲得した宇野昌磨や三原舞依のほうがレアケースであって、上手くいかないのが普通です。

 彼女のジャンプには雰囲気があります。なおかつコンビネーションジャンプの2つめにループを持って来たり、ダブルアクセル+3回転+3回転に挑戦したり、より難易度の高いジャンプを跳ぼうとする姿勢を持ち合わせています。彼女の次の試合は、今週17日からの「フランス杯」。2週続けてのGPシリーズは、何よりの成長のチャンスでもあります。遠慮せずに自分を表に出して、どんどん伸びていって欲しい選手です。