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2018年05月21日
「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(223) 車いすバスケット日本選手に6000人が大歓声! 宮城MAXがNO EXCUSEとの激闘制して10連覇!
車いすバスケットボールのクラブチーム日本一を決める「天皇杯 第46回日本車いすバスケットボール選手権大会」が5月19日から20日にかけて行われ、決勝戦で宮城MAX(東北)がNO EXCUSE(東京)を87-78で下して、大会10連覇を達成。延長戦までもつれる大熱戦の末、全国約70チームの頂点に立ちました。

 

昨年と同一カードとなった決勝戦。昨年は3点差で勝利した宮城MAXに対し、雪辱を期すNO EXCUSEも食らいつき、宮城MAXが34-32とわずかにリードして前半終了。後半第3クオーターでMAXが55-50とリードを広げるも、最終第4クオーターで奮起したNO EXCUSEが土壇場で69―69と追いつきました。5分間の延長戦は王者MAXが18-9と圧倒し、連覇を達成しました。

 

大会MVPには決勝戦で35得点の宮城MAXの土子大輔選手(*持ち点4.0)が受賞しました。土子選手は昨季までエースとしてプレイした千葉ホークスから宮城MAXに移籍。「10連覇に貢献したい」という言葉通りの初シーズンでの快挙でした。



宮城MAX10連覇に貢献した、土子大輔選手。大会MVPも受賞 (撮影:星野恭子)

 

宮城MAXには日本代表の大黒柱でもある、藤本怜央選手(4.5)がいます。土子選手は決勝を前に、「彼が4番(打者)で、僕は3番。僕が守備を引きつけて、(彼に)パスをする選択肢はもちながら、自分のシュートチャンスも意識している」と話していましたが、有言実行でチームをけん引しました。



宮城MAXの2枚看板。藤本怜央(れお)選手(左から2人目)と、土子大輔選手(右)(撮影: 星野恭子)

また、昨年から強化の目的で女子選手の出場も認められていますが、その一人で、日本女子代表主将でもある藤井郁美選手(4.0)も大会ベスト5に選ばれるほどの活躍で宮城MAXの優勝に貢献しました。

 

一方のNO EXCUSEも、得点力のある森谷幸生選手(4.0)や、ドイツリーグでもプレイするプロ選手の香西宏昭選手(3.5)などを軸に、佐藤大介選手(2.0)や千葉ホークスから新加入の千脇貢選手(2.5)など上背のある「ビッグマン」たちのゴール下の強さも発揮して、一進一退の好ゲームを繰り広げました。



健闘したNO EXCUSEの香西宏昭選手(右)。(撮影:星野恭子)

 

ハイレベルなパフォーマンスが連続し、手に汗握る熱戦は会場に詰め掛けた6000人の観客をさぞかし、魅了したことでしょう。昨年も3点差という緊張感あふれる熱戦に5000人が歓声を送りましたが、観客数が増えていることは、2020年東京パラリンピックに向けて、嬉しい傾向です。選手たちの見ごたえあるプレイがその要因の一つに違いありません。

 

同選手権には昨年まで16チームが出場していましたが、今年から地域予選を1次、2次の2段階制にして、前年優勝、準優勝チームのほか、東西日本予選各3位までの全8チームのみとなりました。「狭き門」となったことで、大会の権威とレベルアップも図られました。

 

また、昨年までは内閣総理大臣杯でしたが、今年3月に障がい者スポーツとしては初めて4大会5種目に天皇杯、または皇后杯が下賜されることになったのですが、今大会もそのひとつで、優勝した宮城MAXには車いすバスケットボールチームとして初めて、天皇杯が授与されました。

ちなみに、下賜された他の3大会は日本女子車いすバスケットボール選手権大会(皇后杯)、飯塚国際車いすテニス大会(男女シングルスにそれぞれ天皇杯、皇后杯)、全国車いす駅伝競走大会(天皇杯)です。パラスポーツへの注目度の高まりも感じます。



優勝した宮城MAXに贈られた、天皇杯 (撮影:星野恭子)

さて、同大会は長らく東京体育館(渋谷区)で開催されてきましたが、今年初めて、「武蔵野の森総合スポーツプラザ」で開催されました。同プラザは、2020年東京パラリンピックでも車いすバスケットボール会場となることが決まっています。会場変更は、今から地域住民に対して車いすバスケの魅力を伝え、競技を盛り上げることも目的でもあります。

 

また、選手たちにとっては2020年大会でプレイすることを想定し、会場にいち早く慣れるというメリットもあります。日本代表の豊島英主将(宮城MAX/2.0)も、「会場の設備や動線も確認したい」と話していましたが、地元で開くパラリンピックの「地の利」を活かせるのは大きいでしょう。



日本選手権大会の前日会見で熱戦を約束していた、左から、宮城MAX佐藤聡ヘッドコーチ、豊島英(あきら)主将、NO EXCUSE中井健豪(けんご)ヘッドコーチ (撮影:星野恭子)

 

とはいえ、同スポーツプラザはバリアフリーを意識した段差の少ないフロアなどは印象的でしたが、障がい者も使用しやすい多目的トイレの数が少なかったり、男子トイレの入り口に設置されていたりと、使いにくそうに感じました。段差をなくすだけがバリアフリーではありません。新設の施設だけに、残念感を覚えました。あと2年、改善できる部分は改善してほしいなと思いました。

2020年に向けて、競技団体も「運営力」が問われるようになっています。今大会では、主催する日本車いすバスケットボール連盟(JWBF)では今大会の目的として、選手強化に加え、審判やテーブルオフィシャルなどの運営スタッフの技術向上とボランティアの育成も掲げていましたが、こうした準備は今後ますます、多くの大会や競技団体に、求められてきますし、やらねばなりません。

 

熱戦と歓喜の好ゲームで締めくくられた今年の日本選手権ですが、会場設備や運営なども含め、来年もさらにパワーアップした形での開催を期待せずにはいられません。
<2018年日本車いすバスケットボール選手権最終結果>

優勝: 宮城MAX(東北)

準優勝: NO EXCUSE(東京)

3位: 埼玉ライオンズ(埼玉)

4位: ワールドバスケットボールクラブ(愛知)

5位: パラ神奈川スポーツクラブ(神奈川)

6位: 福岡breez(福岡)

7位: 千葉ホークス(千葉)

8位: 富山県車椅子バスケットボールクラブ(富山)

 

ところで、今大会を見逃した方にも朗報です。3週間後の6月8日から10日まで、今度は国際強化大会、「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2018」が同じ会場で開催されます。日本選手権で活躍した多数の選手たちが、今度は日の丸をつけて、海外の競合、オーストラリア、ドイツ、カナダと戦います。

昨年3位に終わった日本代表ですが、メンバーも多少入れ替わり、雪辱に燃えています。8月にドイツで行われる世界選手権への、重要な準備大会でもあります。こちらも熱戦必至です。また、エキシビションマッチとして、女子の日本代表とオーストラリア代表戦も予定されています。詳細は下記の大会サイトでご確認の上、ぜひ、会場でご観戦ください!

 

<三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2018

日程: 2018 年月6月8日(金)~10 日

会場: 武蔵野の森 総合スポーツプラザ

大会公式サイト: https://wcc.jwbf.gr.jp/2018/

観戦: 6月8日(金)は前席無料。9日、10日は一部有料席あり <ローソンチケット> インターネット http://l-tike.com/sports/wcc18 (L コード:31446)

テレビ放送:BS 日テレおよびCS日テレジータスにて独占中継 (*放送スケジュールは変更される場合あり)

日本代表メンバー:

No.選手名/持ち点/チーム/所属先

92緋田高大(アケダ タカヒロ)/1.0/千葉ホークス/株式会社Gunosy

26岩井孝義(イワイ タカヨシ)/1.0/富山県車椅子バスケットボールクラブ/SMB日興証券株式会社

6川原凛(カワハラ リン)/1.5/千葉ホークス/株式会社ローソン

2豊島英(トヨシマ アキラ)/2.0/宮城MAX/株式会社WOWOW

11藤澤潔(フジサワ キヨシ)/2.0/埼玉ライオンズ/株式会社コロプラ

5鳥海連志(チョウカイ レンシ)/2.5/パラ神奈川スポーツクラブ/日本体育大学

7 古澤拓也(フルサワ タクヤ)/3.0/パラ神奈川スポーツクラブ/桐蔭横浜大学

55 香西宏昭(コウザイ ヒロアキ)/3.5/NO EXCUSE/プロ車いすバスケットボールプレイヤー (RSV Lahn-Dill)

25 秋田啓(アキタ ケイ)/3.5/岐阜シャイン/あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

10 宮島徹也(ミヤジマ テツヤ)/4.0/富山県車椅子バスケットボールクラブ/バーチャレクス・コンサルティング株式会社

24 村上直広(ムラカミ ナオヒロ)/4.0/伊丹スーパーフェニックス/BNPパリバ証券株式会社

13 藤本怜央(フジモト レオ)/4.5/宮城MAX/SUS株式会社

 

ヘッドコーチ: 及川晋平(オイカワ シンペイ)/PwCあらた有限責任監査法人

アシスタントコーチ:京谷和幸(キョウヤ カズユキ)/株式会社RIGHTS.

 

(*選手の持ち点。車いすバスケットボールは、障害の程度により各選手に持ち点(重いほうから1.0点~4.5点)が与えられ、コート上の5選手の持ち点合計を14.0点以内にチーム編成をしなければならない。ただし、今大会では女子選手は2名まで混成で出場でき、一人につきチームの合計点から1.5点マイナスされる特別ルールを採用している)

 

(文・取材:星野恭子)