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2017年04月17日
「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」 (177) ブラインドサッカー女子日本代表が誕生。初の国際大会に向け、4/22に都内で壮行会開催へ!
春の訪れとともにまたひとつ、今後の活躍が楽しみな日本代表チームが産声をあげました。視覚障がい者と晴眼者が混じり合ってプレイするブラインドサッカーの女子日本代表です。

4月1日に正式発足したばかりで、5月2日から初の海外遠征に臨みます。そして、3日からオーストリア・ウィーンで開催される、女子選手を対象とした初の国際大会に出場予定。女子日本代表の原舞香主将は、「一つひとつ勝利を重ね、世界で一番になりたい」と意気込んでいます。


4月2日に都内で行われたブラインドサッカー女子日本代表合宿に参加した、女子代表8選手とスタッフ、練習相手となった男子選手たち

ブラインドサッカーはパラリンピック競技ですが、現在は男子のみの実施です。日本でも2001年にブラインドサッカーが導入されて以来、数の少ない女子選手は、国内リーグ戦などでは男子に混じってプレイをしてきました。でも、体格差や運動能力差もあり、その競技環境は厳しいものがありました。そこで、日本ブラインドサッカー協会(JBFA)では女子選手の発掘と育成を目的に2014年から女子だけの練習会をスタートさせ、これまでに計10回、実施していました。

並行して近年、世界でも欧州や南米を中心にパラリンピックや世界選手権で女子カテゴリー創設の機運が高まってきていました。そして、女子の国際競争力を向上させる狙いもあり、国際視覚障害者スポーツ連盟(IBSA)が史上初となる、女子ブラインドサッカー国際大会の開催を決めました。それが冒頭でご紹介した国際大会、「IBSA女子ブラインドサッカートーナメント2017」です。

この開催に合わせ、JBFAではこれまで続けてきた女子練習会から代表選手8名(下記参照)を選抜し、女子代表を発足させたというわけです。すでに強化合宿を数回実施し、テクニックやチーム力を培ってきています。

監督はJBFA普及育成部長の村上重雄氏で、自身もブラインドサッカー初代男子日本代表GKの経験などを活かし、「選手たちの協調性やひたむきさを前面に出した攻守にアグレッシブなサッカーをし、勝利を積み重ねたい」と話しています。

サッカー経験の浅い選手も少なくなく、男子選手に比べるとサッカーのセオリーなどの理解が不足しているそうですが、ゴール裏から声で指示を送る役割を担う藤井潤ガイドは、「できない部分があるということは、それだけ伸びしろがあること。初めての国際大会だけでなく、初海外という選手も多い。多くのことを吸収して、さらなる成長を」と期待をかけています。

原主将も、「私がブラインドサッカーを始めた10年前は女子が2人しかいなかったので、女子の代表ができて嬉しい。まだ、成長できる部分がたくさんあるので、コミュニケーションをしっかり獲ってチーム力を高め、ブラインドサッカーの素晴らしさを、特に視覚障害のある女子に伝えていきたい」と目標を力強く語っています。

そんななか、チームのエースとしてゴールを期待されているのが、中学3年生になったばかりの菊島宙(そら)選手です。先天性の視力障がいのため小学校4年生頃からブラインドサッカーの練習をしていますが、実はその前、小学2年から一般の女子クラブでサッカーを始めたということで、そこで磨かれたスピードに乗ったドリブルと豪快なシュートが武器です。



女子代表エースの菊島宙選手。持ち味である速いドリブルから、常にゴールを意識した積極性が魅力

ブラインドサッカーはアイマスクを着け視覚を遮断して行うので、ボールを失わないように両脚の間にボールを置いて移動する独特のドリブルが一般的なのですが、菊島選手のそれはボールを前に蹴り出して追いつき、また蹴って…という、いわゆるサッカーのドリブルなのです。他の選手とは明らかに異なる動きも目を引きますし、ボールを前に運ぶ速さも群を抜いています。

さらに、スピードに乗ったまま、しっかりとミートする力強いシュートにも驚かされます。菊島選手は、「サッカードリブルは私の特徴。(ゴール裏にいる味方の)ガイドの声が聞こえる方向に、ただ蹴っているだけ」と話しますが、一度ボールを持つと、必ずシュートで終える積極性と、そのシュートもほとんど枠内へと飛んでいく正確性に、ゴールへの期待が高まり、見ていてワクワクします。ブラインドサッカーのイメージを一新させるような彼女のプレイは、ぜひ一度、見ていただきたいと思います。2週間後に迫った国際大会での活躍も今から楽しみです。ぜひ、世界を驚かせてほしいです。


インタビューに応える菊島宙選手。初の国際大会に向け、「強みはドリブルシュート。世界1位を目指したい。世界の上手い人たちのプレイに会えるのも楽しみ」

さて、この新生ブラインドサッカー女子日本代表に会えるチャンスが今週末、4 月22 日(土)に予定されています。5月2日からの国際大会に向けた、「ブラインドサッカー女子日本代表壮行会&トークショー」で、東京都内の「有楽町 爽 HAPPY SQUARE(有楽町駅前広場)」で開催されます。女子日本代表村上監督ほか、原主将など女子日本代表メンバー数名が登壇します。さらに、元サッカー日本代表で、日本障がい者サッカー連盟の北澤豪会長と元なでしこジャパンの海掘あゆみ氏も登壇する予定です。お時間のある方、ぜひ、フレッシュな選手たちにエールを送りにお立ち寄りください!

●ブラインドサッカー女子日本代表選手
FP 原 舞香 兵庫サムライスターズ
FP 伊藤 久代 新潟フェニックスファイヤーズ
FP 加賀 美和子 buen cambio yokohama
FP 菊島 宙 埼玉T.Wings
FP 工藤 綾乃 Avanzareつくば
FP 鈴木 里佳 コルジャ仙台FC
FP 橋口 史織  ラッキーストライカーズ福岡
GK 大作 眞智子 埼玉T.Wings

●ブラインドサッカー女子日本代表スタッフ
監督     村上 重雄
ガイド    藤井 潤
コーチ(兼GK) 藤田 安澄
コーチ    菊島 充
トレーナー  榎本 芽衣
マネージャー 萩原 由紀子
マネージャー 青木 恭子

<ブラインドサッカー女子日本代表壮行会&トークショー>
日程: 4 月22 日(土)17 時半~
会場: 有楽町 爽 HAPPY SQUARE(有楽町駅前広場
参加: 女子日本代表村上重雄監督、原舞香主将を含む女子日本代表メンバー数名、一般社団法人日本障がい者サッカー連盟(JIFF)北澤豪会長、元なでしこジャパンGK海掘あゆみ氏など
参考: http://www.b-soccer.jp/10245/news/pr170414soukoukai.html

<IBSA女子ブラインドサッカートーナメント2017>
IBSA主催する女子選手を対象とした初の国際大会
期間: 5月3日(水)~7日(日)
会場: オーストラリア・ウィーン
参考: http://www.ibsasport.org/news/1118/womens-blind-football-in-vienna---register-now-for-the-training-camp-and-tournament

(文・写真:星野恭子)